東北の記憶
8年前のことを想いながら、東北を訪れた時の写真を見返してみる。
今から12年前、バケペンを持っていた友人に触発されて中判カメラが気になりNew Mamiya 6を中古店で購入し、レンジファインダーで正方形というフォーマットに慣れるべく、相棒との初めての旅に選んだのが宮城の石巻・田代島だった。
4年後のことなど気にかけるはずもなく、「写真とは何か」みたいな小難しいことを考えることもなく、ただ感性の赴くままに一種の初期衝動でシャッターを切った写真たち。
当時の記憶、時代の変化、気づくこと、想うこと、色々回想される。
恥ずかしながら、この景色が今どうなっているのか、まだ確認しに行けていない。
何があっても、何もなくても、時は進むし全ての状況は変化する。
写真は瞬間を捉える。AFのスピードがどうとか、シャッタースピードがどうとか、肉眼で認識できる以上の「瞬間」を捉えるために進化してきた側面もあるが、僕が捉えたい「瞬間」は長い年月の中で、誰もが見ていた「あの日」だったり「あの時間」だったりする。
必要なのは、常に携帯できるカメラと、常に撮ろうとする自分の意識。
8年前のあの日、帰宅するのが精一杯で、自分は全く写真を撮ることができなかった。衝撃的な様々な記憶こそあるが、記録していないので客観的に思い返す手段がないままだ。